2018年3月9日金曜日

万次郎かぼちゃ栽培講座に行ってきました!

万次郎かぼちゃを美味しく作るコツ

万次郎かぼちゃを上手に作るコツを農家向けに講習するという話を聞き、高知に行って来ました。

講師は「高知ものべ川有機農業推進協議会」会長の山中通博氏です。

片山種苗のおやじさんの挨拶からはじまり、聞いてきた内容を以下に記します。

「美味しい万次郎かぼちゃを作れていますか?私は万次郎を作り初めて16年目になります。栽培当初は万次郎をスーパーやバイヤーに持ちかけても、まずい!すぐ腐る!と売れませんでした。師匠である小祝から栽培技術を学び、高知から生まれたこの万次郎をなんとか広めていきたいと努力し続けて、現在では仲間達と一緒に140本ほどの万次郎かぼちゃを栽培して販売しています。」

「販売先は高知県下では一件のスーパーだけ。後は全て東京、神奈川、千葉、名古屋などの都市圏に販売しています。昨年一番売れたのは東京銀座の三越デパートです。」

「売れるのは有機JAS認定を受けているというのもありますが、一番の理由は美味しいことです。」

「私どもが販売する万次郎は、最高糖度が25.4度。糖度が20度を下回ることはありません。そして腐ることもない。その信頼と実績があるからこそ大きなデパートと取引ができています。」

「消費者は正直で、不味ければ売れません。美味しいから売れる。美味しければ値段が高くても買ってくれます。」

「日本で一番万次郎を生産しているのは九州の熊本ですが、取り寄せて分析してみましたら硝酸値などからやはり化学肥料も使っているようですし、キュアリング期間も少ない(甘味がのっていない)。沢山取れるから沢山販売しても美味しくなければそのうち手詰まりになります。」

「さて、最近の天候不順は凄まじく、まともに作物を育てることが難しい。これは地球上のサイクルで800年ごとに訪れるようで、後20年程度は続くと考えられています。」

「その後に訪れるのは世界的な食糧難です。その食糧難に立ち向かうことができるのは、万次郎かぼちゃだけだと私は考えています。今まではニュージーランドやメキシコから輸入に頼っていたかぼちゃですが、今年から逆に輸出していこうと動いています。」

「前置きはこのくらいにして、美味しい万次郎の作り方についてこれから具体的なお話をしていきます。」

「まずは土作り、そもそも畑は土と微生物が無ければ話に成りません。耕作放棄地などで始めようとするのであれば一反当たり400kgのもみがらと300kg程度の廃菌床など微生物資材を投入してロータリーして下さい。糸状菌によってもみがらの分解を早めることが重要になります。」

「予算がなければえひめAIなど安価なものでも構いません。乳酸菌や酵母菌を餌に土着の菌が定着していきます。土作りはこんなもので十分です。」

「今度は肥培管理ですが、万次郎は皆さんの考えているよりも遥かに多い量の石灰を必要とします。」

「普通の作物は石灰、苦土、カリの比率を5:2:1程にして育てますが、私はこれを10:2:1にします。石灰で丈夫な実や茎葉を作ります。施肥直後はなんとPHが8になることもあります。」

「といいますのもカリが多いとよく成長します。万次郎は他の作物に比べて吸肥力が強く、至るところから根を張り吸収し、実を太らします。そうすると太りすぎるんですね。規格外になる3kg超えを出さないようにするためにも適切な施肥設計が必要となります。」

「一反当たり1000個から1300個の実ができます。一株で平均210個取れますので、反当5株を目安に定植していきます。」

「大体10kg箱に4から6個で出荷していきますので平均2kgを目指します。あと、大きく育った万次郎は腐ります。いや、腐りやすくなります。年内中に腐ると思ってください。」

「窒素、リン酸については様子を見て蔓先に緩行性のボカシ肥料を施します。神奈川で万次郎を作っている方から畑を見て欲しいといわれて、行ってみると全く実がついていない、葉っぱだけの万次郎がありました。話を聞くと月に一度追肥していたそうです。完璧な蔓ボケという状態です。」

「万次郎は栄養成長に偏ってしまうと雌花を自分で落とします。生殖成長にしようとしても、畑から肥料を取り除くことができません。」

「荒療治になりますがそんな時は、蔓から出ている根を引き剥がして下さい。いじめてやることで生殖成長を促します。」

「あと、雄花用株の数も多ければ多いだけいいです。私どものグループでは一対一です。これは異常気象にも繋がりますが、ここ最近蜂の数が激減してきているからです。」

「あっ大事なことを忘れていました!万次郎は生育速度が早く、8月になれば蔓が一日で30cm以上伸びていきます。」

「なのでその前、7月の中旬から下旬にかけて、蔓が伸びていく先の雑草を刈り取って下さい。その時は土の表面をなぞるように、なるべく雑草にダメージを与えることが次に雑草が生えてくるスピードを抑えることに繋がります。」

「なぜこんなことをするかというと、万次郎がそのまま伸びていきますと、新幹線状態!雑草の上をビャーっと伸びていきます。万次郎は節々で大地に根を張り、栄養補給をして実をつけていきますので、雑草の上を走られたらまともな実が取れなくなります。」

「雑草抑えに敷き藁をする方もいます。蔓の伸びる先に順々に藁を敷いていきます。豊富に資材のある方はこちらもおすすめですね。」

「収穫のタイミングですが50日をキーワードに覚えておいてください。蔓上で50日置いてキュアリングの期間を60日とれば出荷できます。」

「是非とも糖度を測るようにしてもらいたいのですが、収穫の時点でヘタからでる汁がありますよね。これが糖度10度を下回っていたら失敗です。土作りか施肥設計か何か問題があります。」

「7月から随時収穫していき、キュアリング期間が40日を過ぎたらどんどん糖度が上がっていきます。反対に90日を過ぎると今度は味が狂ってきますので、60日から90日を目処に出荷販売をして下さい。」

「ということは逆算して12月の初旬に霜が降りるのであれば、10月の中旬以降に着果した実は全て掻く必要があります。蔓が伸びる必要もなくなりますので摘芯していただいて結構です。」

「北海道産のかぼちゃは冬至には尽きますのでそこからが万次郎の本領発揮です。高く買い取ってもらいましょう。」

「生育のスピードが早い万次郎ですから病気や虫、雑草には負けません。これは無農薬で栽培できるということです。これに有機の肥料を使えば有機JAS認定が受けられます。有機JASが受けられるかぼちゃは万次郎だけです!」

「あと、他のかぼちゃに比べ万次郎は多糖類が多く、急激に血糖値を上げる単糖、二糖ではなく、穏やかに血糖値をあげるものですから糖尿の方でも食べることができます。」         
       
「是非とも皆さんで美味しい万次郎を作って、万次郎の価値を上げてください。」

次回へつづく

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