ここからは質問対応になります。
農家「子蔓三本仕立てとか整枝について」
山中氏「私は基本的になにもしません。万次郎をのびのび育ててあげます。ただ放っておくと余所の畑に行くのでそんな時は向きを変えます。」
農家「昨年万次郎を作ったら5kgを超える大きなものや沢山イボがある果実ばかりできた。原因は?」
山中氏「それ、どこで買いました?」
農家「タキイ種苗」
山中氏「なるほど。実は私も昨年ここにいる片山種苗さんから苗を購入する段階で、種取りが上手くいかなかったといわれ、半数に減らされまして、タキイから取り寄せました。で、結果は全ての果実を廃棄することになりました!」
「あんなものは万次郎じゃない!ふざけるな!裁判覚悟でせめて苗代と畑にいれた費用を払えとタキイに請求しました。」
「詳細をご説明しますと、沖縄で偽物の万次郎を作らせて、それを鹿児島の集荷センターへ送り、全国へ発送しているようです。総元締めはタキイ種苗でここから「メルシー」や「国華園」といった業者へ流しています。」
「片山種苗さんの万次郎は大きくても3kg程度で揃います。肌も綺麗でつやつやします。偽物は大きくて味のないかぼちゃで、しかも腐ります!まったくの紛い物です。」
「先日も沖縄で万次郎を栽培しているという人から連絡があり、共に万次郎を栽培しているもの同士頑張りましょう。なんて話をしていたのですがよくよく聞いてみると、メルシーから仕入れているようで、それは偽物だ!と言って電話を切りました。」
「沖縄県の人はジョン万次郎に並々ならぬこだわりをお持ちなので一刻も早く偽物の万次郎が消えることを願っています。」
「あとよく話にでるのですがモザイク病はアブラムシを媒介して感染するので、もし、心配なら私も他の作物で実践しているソルゴーで囲う障壁栽培がおすすめです。一条で囲えばアブラムシの被害がほとんどでなくなります。」
「また、万次郎はモザイクがでません。感染はしているかもしれませんが株の勢いがあるので病気が負けます。株が弱ったらでるかもしれませんが、そうならないように元気いっぱいに育てて下さい。」
農家「病気や虫にやられることはないと、無農薬でできるというのは本当なんでしょうか?」
山中氏「本当です。洗剤やタバコなんかを畑に撒く人がいますが、全くいりません。これは栽培してみたらすぐわかると思いますよ。勢いがすごいんですから。」
農家「緑肥の利用は?」
山中氏「私どものグループでは4月の中旬から定植するのですが、中々間に合わないんですよ。夏場は当然畑を万次郎が占領していますし、12月に畑を片付けてすぐ植え付けても満足の行く収量が期待できないので、残念ながら緑肥は使いません。使った方がいいとは私も思うんですが。」
農家「連作障害は?」
山中氏「ありません。もちろん土壌診断をして施肥設計を毎年行っていますが。」
農家「獣害は?対策は?」
山中氏「あります。イノシシは一頭でもかぼちゃが美味しいことに気づくと、一族郎党引き連れてやってきます。私どもの地域では他にもシカがいます。猿は今のところ来ていませんので助かっています。対策は色々してきました。目隠ししたり電柵したり、全部ダメ!電柵なんかはお尻から入られます。行き着くところはワイヤーメッシュですね。ほ場をぐるっとワイヤーメッシュで囲んでいます。二メートルのワイヤーメッシュを30~40cm程地面に打ち込んでいます。隙間が大きいとタヌキやハクビシンが入り込んでくるので下部には目の細かいメッシュをしています。檻の中です(笑)」
農家「元から畑のところでした?田んぼ?開拓地?」
山中氏「水田ですね。段々畑です。中山間地域でやってます。」
農家「規格外は?処分方法は?」
山中氏「もちろん出ます。傷がついたり大きかったり小さかったり色々でますが全て地元のお菓子屋さんが買い取ってくれます。それを加工してお菓子になっているんですね。これは凄く重要なことですよ。反当1000個ですから相応の規格外品がでます。バカにできない収入になります。」
農家「スイカみたいに玉返しとか下に敷いたりした方がいいのでしょうか?」
山中氏「した方が綺麗にできます。安価にしたければ、スーパーから発送スチロールをもらってきてすければよいと思いますよ。ただ私どもは数が数なんで中々そこまで手がまわりません。」
etc
他にも色々お話ししていましたが約二時間濃密で有意義な講座でした。
講師データ
1941年生まれ。2009年に高知ものべ川有機農業推進協議会を立ち上げ会長に就任。有機農業による中山間地域の農業の活性化を目指し、個人の経験や勘に頼らない、科学的データを用いた有機栽培技術を習得し、消費者に対して高品質な農産物を安定的に供給できる産地づくりを行っている。